薬湯は本当に効果があるの?
by 4月 10, 2021 12:09 am0

薬湯は日本古来から疾病や体調不良の治療などに用いられてきた入浴方法の一つで、漢方や生薬などを入れたお風呂のことを言います。「くすり湯」と読みますが、「湯薬」どいわれることもあります。効能としては体を温めて血行を良くすることが主で、発汗を促したり代謝を浴して体内の悪いものを出したり、皮膚の病気を治したり肩こりや腰痛をやわらげたりします。
薬湯に使われる生薬には、様々なものがあります。よく使われるのがドクダミやはっか、ヨモギや葛根です。これらの薬草にはそれぞれ違う薬効があり、ヨモギは血行を良くしてデトックス効果を発揮し、冷え性や腰痛などの症状を改善します。はっかは体を温めながらもさらっとした湯上りで、暑い夏に薬効のある薬湯です。ドクダミは日本三大薬草の一つで抗菌や消炎作用があり、あせもや湿疹などを改善します。葛根は発汗を促し体内の毒を排出させます。これらの植物のほかに、ホウ酸や重曹、硫化物などの薬品が使用されることもあります。
薬湯として日本でも有名な温泉は、群馬県の草津温泉と兵庫県の有馬温泉、それに新潟県の松之山温泉です。草津温泉は火山ガスが地下水に混ざっていて薬湯効果があるとされ、戦国時代から多くの武将が湯治のために訪れていたといわれます。有馬温泉には環境省が定めた9つの成分のうち塩化物や鉄など7つの成分が含まれていて、強力な殺菌効果とカルシウムイオンをふんだんに含んだ湯です。松之山温泉は、濃いくすり湯に入れる宿があり、傷の治療や美肌効果、体を温める効果があるとされています。
くすり湯はこれらの温泉に行ってゆっくり浸かって薬効を実感することができますが、ヨモギやはっかなどを用いた入浴剤もたくさん市販されているので、家のお風呂でも楽しむことは可能です。かつては草津や有馬などの温泉に長期滞在して毎日入浴をして体調を整えていましたが、現在では過程で毎日入浴剤を使ってくすり湯につかり、湯治を体験することもできます。
薬効に関する科学的根拠ははっきりしていないのですが、5月の子どもの日にはしょうぶ湯、冬至にはゆず湯など日本には昔から伝わる入浴方法があります。ヨモギやドクダミ、ゆずなどの植物をお風呂に入れることで、普通の水だけを沸かすお風呂よりも保温や保湿効果が高まる作用があることはわかっています。多くの病気は冷えから来るとも言われるので、体を温めることによって病気を予防したり改善することができると、昔からの日本人の知恵から生まれたり有名になったりしてきたのです。